Nanahoshi Management

焼津水産化学工業(2812)の株主価値向上に向けて

Presented by

本ウェブサイトの運営会社は、株式会社ナナホシマネジメント(以下「弊社」といいます。)です。
弊社は、焼津水産化学工業株式会社(以下「当社」又は「焼津水産化学工業」といいます。)の株主です。

本ウェブサイトは、焼津水産化学工業の株主を対象としたキャンペーンサイトです。

2023年6月23日開催の当社定時株主総会における弊社の株主提案(概要)

PBR1倍以上を目指すために、株主資本コストと同水準であるDOE10%相当の配当を行うこと 反対割合74.5%で否決

別途積立金を取り崩し、経営判断の硬直化を防止すること(*)

弊社代表取締役を、当社の取締役として派遣すること 同79%で否決

剰余金処分を取締役会のみに任せず、株主総会にて決定すること 同73%で否決

気候変動リスク対応として、ネットゼロ移行計画を策定・実行し、株主資本コストの低減を図ること 同78.4%で否決

買収防衛策を廃止すること 同66.6%で否決

*招集通知に記載されていますが、当社が5月22日に取締役会決議で別途積立金の取崩しの決議を公表したため、弊社は当該株主提案を取り下げました。反対比率の出所は、当社の6月26日付臨時報告書です。

弊社が考える株主価値向上策(概要)

最近の主な対話の状況

2024/2/16 取締役会宛に書簡を送付しました

内容:一連の公開買付けにかかる不自然さの指摘及び賛同意見の撤回の要望

2023/10/20 取締役会宛に書簡を送付しました

内容:株主価値向上策の公表等に関する要望

2023/10/20 南青山不動産宛に書簡を送付しました

内容:自社株買い要請自粛のお願い

2023/10/17 取締役会宛に書簡を送付しました

内容:山田代表取締役等に対する株主代表訴訟の提起

2023/10/17 取締役会宛に書簡を送付しました

内容:内山取締役より受領した書簡に対する弊社見解

2023/8/15 取締役会宛に書簡を送付しました

内容:公開買付けの問題点の指摘等

2023/7/6 山田社長宛に書簡を送付しました

内容:有価証券報告書の訂正に関する要望など

2023/6/16 損害賠償責任を追及する訴え提起の請求に関する書簡を送付しました

内容:山田社長及び石川元取締役(請求額:641,003,000円)

2023/6/12 山田社長宛に書簡を送付しました

内容:山田社長との面談のフォローアップ

2023/6/1 山田社長宛に書簡を送付しました

内容:株主提案に対する反対意見についての弊社見解

2023/5/23 株主提案の一部取り下げに関する書簡を送付しました

内容:取締役会決議で別途積立金が取り崩されたため、当該株主提案を取り下げること

2023/4/12 株主提案書を公表しました

内容:2023年6月開催予定の当社定時株主総会における株主提案

2023/1/11 指名・報酬委員会宛に書簡を発送しました

内容:弊社代表取締役を当社の取締役候補としていただきたいこと等

2023/1/11 山田社長宛に書簡を発送しました

内容:PBR1倍を下回る上場企業に関する議論について等

2022/10/13 書簡を発送しました

内容:前日の面談内容のフィードバック等

株主提案の補足図表

取締役会が配当を決定するようになった後の自己資本比率と株主総利回りの変化

15年3月期末対比の各決算期末の値の変化幅をみると、自己資本比率は上昇し、累計の株主総利回りはマイナスとなっている。なお、第56期(2015年3月期)及び第63期(22年3月期)現在の自己資本比率は、それぞれ76.9%及び88%(+11.1%pt)であった。

補足:当社の累計株主総利回りは{(各事業年度末日の株価+当事業年度の7事業年度前から各事業年度までの1株当たり配当額の累計額)/当事業年度の8事業年度前の末日の株価}にて算定しています。また、配当込みTOPIXは税引前の数値を用いた。仮に、税引後配当込みTOPIX及び税引後配当込みTOPIXと同じベースで当社の株主総利回りの差を算定すると、23/3期累計は-52%ptとなります。

総額でDOE10%相当額が配当となるイメージ

会社が決める配当と株主提案の配当の合算値(の合計)が、23年3月期の配当です。そして、23年3月期の配当は、一株当たり純資産(図表ではBPSと記載)の10分の1()と同額となります。

弊社が考える焼津水産化学工業の課題等と解決策

0.5

異常に低い株価のバリュエーション(PBR0.5倍)

株主価値向上に向けた経営を実践する

5

著しく低い中期経営計画の目標ROEの水準

株主資本コスト以上のROE又はWACC以上のROICを中計の目標とする

株主との対話を真摯に行い、市場の考え方を理解し、経営に採り入れる

89%

非効率な資本政策による極端に高い自己資本比率

最適な自己資本比率を公表する

DOE10%を指標とした株主還元方針を設定する

自己株式の消却を行う(当社は、2023年2月3日に自己株式の消却を発表しました。)

6億円

多額の損害賠償を行った不正表示問題に関する不十分な開示

調査報告書を公表する

責任者への適切な責任追及を行う・有効な再発防止策を実行する

84億円

不十分な気候変動リスク分析等に関する開示及び多額の別途積立金の計上

海面上昇をはじめとした気候変動リスクの評価を精緻に行う

単体貸借対照表上の別途積立金を全額取り崩す(当社は、2023年5月22日に別途積立金の全額取崩しを取締役会で決議したことを明らかにしました。)

1-3%

極端に低い利益率の水産物セグメント

事業ポートフォリオの見直しを行う

資本効率性改善に寄与しない事業から撤退する

4か月弱

プライム市場上場を宣言した後にわずかな期間で撤回

中期経営計画の目標としてプライム市場への上場を設定する

買収防衛策を廃止する

-27%ポイント

中期経営計画発表後の配当込みTOPIX対比の株主総利回り(トータルシェアホルダーリターン)

株主価値向上に向けた経営方針を採用しないならば、非上場化して株式市場から撤退する

上場を維持するのなら、株主価値向上のための経営を実行する取締役と交代する

(補足:本ウェブサイトにおいて、時価は2023年5月11日現在、財務データは2023年3月末現在、財務データは特に断りがない限り連結決算書類の数値を用いています。)

当社に対する異常に低い評価の状況

資料1の通り、当社の株主価値の評価は、解散価値に対してわずか約半分の評価に過ぎません。

また、資料2の通り、当社の事業価値は約30億円と算定されます。一方、当社の事業は、フリーキャッシュフロー(以下「FCF」といいます。)を毎年7-12億円創出します。そのため、当社の事業は、3-4年程度のFCFに相当する評価しか受けていないといえます。

資料1:PBRのイメージ図

PBR(株価÷一株当たり純資産)は、異常に低い水準となっている。

資料2:事業価値の推計

当社の事業価値は、FCFのわずか3-4年分相当でしか評価されていない。

(資料2備考:事業価値は、株主及び債権者が保有する価値(それぞれ時価総額及び有利子負債)の合算値である企業価値から、非営業用資産を控除して算定しています。非営業用資産は、現金及び政策保有株式残高の合算値から、営業用現金及び政策保有株式の売却時想定支払い税金を控除した金額としています。また、営業用現金は、通期会社計画売上高の2.5か月分(2.5か月は、当社が現金を貯め込む前の現金÷売上高に相当する比率×12にて算定。)の前提で算定しています。なお、政策保有株式残高は2022年3月末現在の金額を用いています。)

当社の価値が著しく過小評価される理由の考察

一般的に、資料3(黄色マーカー)の通り、株主価値及び企業価値は、株主資本コスト及び加重平均資本コストが高まると減少します(株主資本コスト及び加重平均資本コストを総称し、以下「資本コスト」といいます。)。
また、資料4(緑マーカー)の通り、ROE及びROICといった資本効率性(ROE及びROICを総称し、以下「資本効率性」といいます。)が資本コストよりも低い場合、市場は自己資本及び投下資本をディスカウントして評価します。

弊社は、当社の価値に対する低い評価の原因が、資本コスト(≒リスク、不確実性)が高まる一方で資本効率性が低位にとどまっていることだと考えています。したがって、当社の株主価値は、資本コストを低減させ、資本効率性を高めることで、向上する余地があるとみています。

弊社は、当社に対し、このような低評価を漫然と放置せずに、株主価値を向上させる経営方針を実践し、市場からの評価を高めていただくことに期待します。

資料3:株主価値及び資本コストの関係

資本コストが高まると、株主価値及び企業価値は減少する。

<配当割引モデルによる株主価値の評価>

''
\begin{align} \style{background: linear-gradient(transparent 80%, yellow 50%);}{\textsf{株主価値}}=\frac{\textsf{今後1年間の当期純利益}(\textsf{NI} _{1})\times\textsf{配当性向}{(\frac{\textsf{今後1年間の配当金額}(\textsf{D} _{1})}{\textsf{今後1年間の当期純利益}(\textsf{NI} _{1})})}}{\style{background: linear-gradient(transparent 80%, yellow 50%);}{\textsf{株主資本コスト(Cost of Equity)}}- \textsf{利益成長率(g)}} \end{align}

<バリュードライバー式による株主価値の評価>

''
\begin{align} \style{background: linear-gradient(transparent 80%, yellow 50%);}{\textsf{企業価値}}&=\frac{\textsf{今後1年間の税引後営業利益}(\textsf{NOPAT} _{1})\times{(1- \frac{\textsf{利益成長率}(\textsf{g})}{\textsf{投下資本利益率}(\textsf{ROIC})})}}{\style{background: linear-gradient(transparent 80%, yellow 50%);}{\textsf{加重平均資本コスト(WACC)}}- \textsf{利益成長率(g)}} \\ \\ \textsf{株主価値}&= \textsf{企業価値}\ -\textsf{ネット有利子負債(Debt - cash equivalent}) \end{align}

資料4:資本効率性及び資本コストの関係

資本効率性が資本コストよりも低いと、自己資本及び投下資本はディスカウントして評価される。

<エクイティスプレッド式>

''
\begin{align} \style{background: linear-gradient(transparent 80%, #6CD5C7 50%);}{\textsf{PBR}}=1+\frac{\style{background: linear-gradient(transparent 80%, #6CD5C7 50%);}{\textsf{ROE}-\textsf{株主資本コスト}}}{{\textsf{株主資本コスト}}} \end{align}

<EVA®(経済的付加価値)算定式>

''
\begin{align} \style{background: linear-gradient(transparent 50%, #6CD5C7 80%);}{\textsf{EVA}^®}=\style{background: linear-gradient(transparent 80%, #6CD5C7 50%);}{\textsf{(ROIC}-\textsf{WACC)}}\times\textsf{投下資本} \end{align}

山田社長の選任に対する低い賛成比率及び資本効率性を重んじる機関投資家の議決権行使結果

資料5の通り、山田社長の選任に関する賛成比率は、ROEが低いことなどから一貫して低水準となっています(なお、TOPIX500 採用企業の経営トップに対する賛成比率は91.2%です(大和総研「2022 年 6 月株主総会シーズンの総括と示唆」)。)。

2022年5月、当社は、2023年3月期を初年度とする3か年の中期経営計画(以下「中計」といいます。)を発表し、最終年度におけるROE5%や営業利益8.5億円などの目標を明らかにしました。

しかし、例年通り、2022年6月に開催された定時株主総会において、山田社長に対して多くの反対票が投じられました。低い賛成比率の背景は、資料6の通り、機関投資家が当社の資本政策・資本効率性を問題視したことだと考えられます。

機関投資家は、反対票を投じる前に、定時株主総会に先立って発表された中計の内容を精査し、当社と対話を実施し、一定水準以上の資本効率性改善の兆しがあるか等について確認しているはずです。したがって、機関投資家は中計の内容を踏まえた上で、当社が資本コストの観点を踏まえた経営ができていないと判断したのだと考えられます。

資料7の通り、コーポレート・ガバナンスに関する報告書(以下「CG報告書」といいます。また、コーポレートガバナンスを以下「CG」といいます。)において、山田社長が、対話全般を担当するとの記載があります。山田社長には機関投資家と対話する機会があるのですから、是非資本コストの考え方を理解し、経営に活用していただきたいと存じます。

弊社は当社に対し、以下の通り、資本コストの観点を踏まえた経営方針を採用していただくことに期待します。

株主との対話を真摯に行い、市場の考え方を理解し、経営に採り入れる

山田社長に対して反対票を投じた機関投資家の懸念点を理解、経営課題として認識し、解決策を推進する。
なお、弊社は、資本コストの考え方等を説明申し上げるために、山田社長又は取締役会との面談を要請したが、拒否された。山田社長が対話の対応をしないのなら、CG報告書は虚偽記載の疑いがあるため、正しい表現に訂正する。

株主資本コスト以上のROE又はWACC以上のROICを中計の目標とする

当社が、自社の株主資本コストを現行中計のROE目標と同じ5%だと認識しているなら、株主資本コストの水準及び計算根拠を開示する。

資料5:山田社長の選任に対する賛成比率とROE

山田社長への賛成比率は80%程度と低く、ROEの水準も一貫して低い。

資料6:2022年定時株主総会における山田社長に対する大手機関投資家等の反対理由

資本政策の不透明性や資本効率性の低さ、株主還元の不十分さが主な反対理由として挙げられている。

  • 業績不振が続く中で取締役の続任を支持できない。資本政策に関する説明が十分でないため、経営責任者を支持できない。(ブラックロック)
  • 業績が当社基準を満たさないことについて責任を有すると判断されるため(野村AM。なお、昨年は賛成。)
  • 3期連続で自己資本利益率が一定水準を下回っており経営責任があると考えることから反対。(三菱UFJ信託)
  • 経営成績または株主資本の有効活用について当社基準を満たさないため(大和AM)
  • 業績が当社基準を満たさないため、および、社外取締役の人数が当社基準を満たさないため(日興AM)
  • 剰余金処分に関する基準に該当(ニッセイAM)
  • 株主還元・内部留保等の水準、資本効率に関する基準(りそなAM)
  • The company has a poison pill in place.(アムンディAM)
  • ROE基準(三井住友DS AM)
  • 業績基準に該当(企業年金連合会AM One第一生命みずほ信託三井住友トラストAM。なお、第一生命は昨年は賛成。)

(補足:円谷教授研究室ウェブサイトを参考に、各社ウェブサイトから弊社が作成。AMはアセットマネジメントの略。)

資料7:当社の株主との建設的な対話に関する方針の記載

山田社長が対話全般を担当することとなっている。

当社は、株主・機関投資家への対応についてはIR担当者を定め、対話全般については代表取締役社長が対応しております。

2022年6月23日付CG報告書CGコード 原則5-1より抜粋

89%にも上る自己資本比率及び非効率な資本政策

資料8の通り、当社の自己資本比率は89%と極めて高い水準です。また、同業他社との比較でも、当社の自己資本比率は高いといえます。

当社の自己資本比率が著しく高い原因の1つは、有利子負債をほとんど活用せず、現金を貯め込んだことだと考えられます。資料9の通り、当社の一株当たり現金の金額は、ほぼ当社の株価と同水準です。

資料10の通り、当社も、株主価値≒貯め込んだ現金となっている異常な状況を経営課題として認識しているようです。そこで、以下の通り、当社が考える最適な自己資本比率の水準を明らかにし、市場に対して具体的な施策を情報発信していただくことに期待します。

当社が認識する最適な自己資本比率を公表する

最適な自己資本比率達成のために、株主還元をどの程度行い、有利子負債をどの程度用いるか、など具体的な方針を掲げる。
漫然と現金を貯め込み、自己資本を積み上げないために、例えば売上高対比どの程度の現金が必要で、いくら以上の現金が余剰現金なのかを明らかにする。

DOE10%を指標とした株主還元方針を設定する

例えば、株主資本コスト以上のDOEを設定すれば、株主は安定的で魅力的な株主還元に期待でき、当社に投資するリスクの低減につながる。また、弊社は焼津水産化学工業の株主資本コストを10%程度と算定している*。

*資料2のように1株当たり配当÷{株価-(1株当たり非事業資産-1株当たり有利子負債)}を、現行の中期経営計画発表日の翌日である2022年5月24日~2023年5月11日をそれぞれ時系列で算定して単純平均すると、9.6%となる(低流動性下での自社株買いによって株価のボラティリティが高まった2023年2月6日から3月31日までの値を除外した。)。
なお、本ウェブサイトリニューアル前は、自社株買いの影響を除く必要がなかったため、時系列ではなく2022年12月22日現在の値として算定し、算定値は10.2%であった。)。

自己株式の消却を行う

当社は10%にも上る自己株式を保有している。現状の株価のバリュエーションで希薄化の発生する、自己株式を対価とした買収を行わない方針を明らかにする。

当社は、2023年2月3日付プレスリリース「自己株式取得に係る事項の決定及び自己株式消却に係る事項の決定に関するお知らせ」において、自己株式を消却すること等を発表しました。

資料8:焼津水産化学工業と業界平均の自己資本比率の推移

当社の自己資本比率は、絶対値でも同業他社に対しても著しく高い水準となっている。

資料9:一株当たりネットキャッシュの推移

現金等を貯め込んだ結果、一株当たりネットキャッシュは株価に匹敵する金額となった。

(資料8備考:株式会社日本取引所グループの各年度の決算短信集計【連結】《合計》(市場第一部・市場第二部・マザーズ・JASDAQ)から食料品セクターの数値を引用。)
(資料9備考:ネットキャッシュは、現金から有利子負債を控除した金額及び政策保有株式残高から政策保有株式の売却時想定支払い税金を控除した金額の合算値としています。なお、政策保有株式残高は2022年3月末現在の金額を用いており、それ以外は2023年3月末現在現在の金額を用いています。)

資料10:当社の現預金比率に関するコメント

当社も現預金比率が高いことを認識している。

経営課題:資本効率の低い現預金の比率が高く、株主価値を毀損している可能性

2022年3月期決算説明会資料より抜粋

6億円超の損害賠償を行った不正表示問題に関する不十分な開示

当社は、2019年に全570製品中139品目において不適切な商品表示を行いました(以下「不正表示問題」といいます。)。また、当社は、不正表示問題に関連し、6億円を超える損害賠償金を支払いました(有価証券報告書注記へのリンク)。

しかし、当社は調査委員会の調査報告書を開示していません。そのため、不正表示問題の実態が分からず、再発防止策の有効性や関係者の処分の妥当性の評価が困難です。不正表示問題に関する当社の対応として、弊社が考える主な疑問点は以下の2点です。

(1)適切な処分がなされたのか

資料11「関係者の処分」の通り、役員報酬の減額に加えて降格処分を受けた取締役は1名(当時の取締役常務執行役員品質保証本部長であった石川氏)のみでした。
資料11「調査委員会による原因6項目」には「取締役の職責に対する理解・認識不足」との記載があります。
弊社としては、取締役としても従業員としても品質保証関係業務に長年携わってきた石川氏が、品質保証を担当する取締役としての職責の理解・認識が不足していたとは考えにくく、どのような調査によって同氏に対して損害賠償請求を行わない判断に至ったのか、株主として強い関心があります。

(2)再発防止策は妥当なのか

いつ・だれが・どのように不正表示を行ったのかが明らかでありません。それらの事実関係を踏まえた上で再発防止策の有効性を評価する必要があります。
また、弊社は「取締役の職責に対する理解・認識不足」で不正表示問題等の損害を当社に生じさせた取締役に対しては、損害賠償請求を行う方針であることを明記することが、再発防止策として有効だと考えます。

弊社は調査報告書の公表を要望しましたが、資料12の通り拒否されました。当社の経営陣は、以下の対応を実行するべきです。

調査報告書を公表する

調査委員会の構成メンバーを「当社と利害関係のない弁護士・有識者」とせずに、氏名等を明記する。

責任者への適切な責任追及を行う・有効な再発防止策を実行する

既に実施した処分が適切であるなら、適切だと判断できる根拠として調査報告書を公表する。
「取締役の職責に対する理解・認識不足」で不正表示問題等の損害を当社に生じさせた取締役に対しては、損害賠償請求を行う方針であることを明記することが、再発防止策として有効だと考えられる。

資料11:不正表示問題に関する開示

6億円にも上る損害賠償金を支払った不祥事に関する調査委員会を設置したものの、調査報告書は公表されておらず、責任の追及と再発防止策の内容が不十分の可能性がある。

2019年11月18日

再発防止策の策定及び関係者の処分に関するお知らせ

調査委員会による原因6項目

  • 食品表示の重要性に対する役員、管理職、従業員の理解の欠如
  • 法令遵守(コンプライアンス)に対する役員、管理職、従業員の意識の低さ
  • 取引先や消費者からの信頼を最優先に考える姿勢の欠如
  • 取締役の職責に対する理解・認識不足
  • 部門間の情報共有・連携の不足、人員の不足等
  • 役員、管理職による現場の実態・従業員の意識の把握不足

再発防止策

  • コンプライアンス意識の改革と企業統治体制の強化
  • 品質保証体制の抜本的見直し
  • 製造体制の強化
  • 全社的コミュニケーションの活性化

関係者の処分

  • 石川眞理子氏  取締役常務執行役員から取締役執行役員に降格
    • (弊社追記)同氏の現在の品質保証本部に相当する組織における経歴は以下の通りです。
      • 2001年8月 生産本部品質保証部品質保証課長
      • 2003年7月 品質保証室長
      • 2005年7月 品質保証センター長
      • 2007年6月 取締役品質保証センター長(2010年11月からは常務取締役生産本部長等)
      • 2012年11月 常務取締役品質保証センター長(2013年4月からは常務取締役営業本部長兼営業統括部長等)
      • 2015年6月 取締役執行役員品質保証室・内部監査室管掌
      • 2016年4月 取締役常務執行役員品質管理本部長
      • 2017年4月 取締役常務執行役員品質保証本部長
  • 常勤取締役 6 名、社外取締役 1 名 役員報酬の一部を減額(3か月間10%~50%減額)
  • 友田行道氏 執行役員を解く

(補足:当社ウェブサイトから弊社が作成。)

資料12:調査報告書の不明瞭な非公表理由

調査報告書(公表版)すら公表しない当社の方針は、株主として理解しがたい。

調査報告書は、公表をすることを前提として作成されたものではないため、公表しない方針となっております。

2022年11月8日の中島執行役員の書面での回答

不十分な気候変動リスク分析等に関する開示及び多額の別途積立金の計上

当社の主な資産は沿岸部に位置しています。例えば、資料13の通り、海面上昇の影響をリスクシナリオで分析すると、当社の本店住所は水没しません。しかし、近隣部は海面上昇による災害のリスクに晒されているといえます。

災害対策には事前に対応するものと事後に対応するものの2種類があります。当社は、まず、災害に遭う前に当社が晒されているリスクを分析するべきです。そのために、気候変動リスクに関する開示を詳細に行うことに期待します。

なお、当社は、単体の貸借対照表において、84億円にも上る別途積立金を計上しています。弊社のヒアリングによれば、多額の別途積立金を計上する理由は「災害など」のためとのことでした。

そもそも、別途積立金を災害時などに機動的に活用することが目的なら、別途積立金として計上するのではなく、その他利益剰余金に振り替えておくべきです。

海面上昇をはじめとした気候変動リスクの評価を精緻に行う

当社の設備等は、沿岸部に分布しているため、気候変動リスクの評価を精緻に行い、リスクを正しく株主に説明する。

別途積立金を全額取り崩す

当社は、2023年5月22日付プレスリリース「株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ」2枚目中段において、別途積立金84億円の取崩しを取締役会で決議したことを明らかにしました。

資料13:当社本店住所と海面上昇予想範囲

RCP8.5のケースを表示。

(出所:グ-グルマップ)

(出所:一般社団法人グリーンピース日本事務所ウェブサイト)

営業利益率1-3%程度の水産物セグメント及び事業ポートフォリオの見直しの必要性

当社は大きく3つのビジネスを展開しています。資料14の通り、水産物セグメントの営業利益率は、ほかのセグメントと比較して非常に低い水準です。また、利益率が低いことに注目すると、水産物セグメントの資本効率性も高くないと考えられます。

当社が水産物セグメントを展開した端緒は、資料15の通り、2005年に焼津市の老舗の水産会社であった株式会社マルミの業績悪化を受け、同社の主要営業部門を買収したことです。
当社によれば、新たなビジネスチャンスを見込んで買収したとのことですが、その後20年近く経っても、どのようなチャンスを見込んでいたのか明らかでありません。

上述の状況を踏まえ、弊社は、焼津水産化学工業が(CGコード原則5-2のいう)事業ポートフォリオの見直しを行い、資本コストの観点から事業継続の要否を判断し、必要なら水産物セグメントから撤退をするべきだと考えます。当社の資本効率性改善をどのように推進するのか、以下のように具体的に計画を策定したうえで公表していただくことに期待します。

事業ポートフォリオの見直しを行う

事業ポートフォリオの見直し体制、事業評価定量基準などを(事業再編ガイドライン2.2.3及び2.2.4を踏まえて)明らかにする。

資本効率性改善に寄与しない事業から撤退する

資料14:セグメント別の営業利益率の推移

水産物セグメントの営業利益率は当社全体の利益率と比較して著しく低い。

資料15:水産物セグメント発足の端緒

2005年の買収時に企図した新たなビジネスチャンスや原材料の仕入れルートの確保が、依然として当社の業績にどう寄与しているのか明らかでない。

株式会社マルミの主要営業部門を譲り受け、平成17年8月に100%出資の子会社「マルミフーズ株式会社」として新発足させた。(略)株式会社マルミは水産物の仲買、委託売買、加工・販売、および冷凍・冷蔵事業を行ってきた焼津市の老舗の水産会社だった。(略)この買収で、わが社は鮮魚部門を扱う全く新しいセクションを得て、新たなビジネスチャンスを狙うことになった。(略)焼津港の水揚げ高の減少などにより財務内容が悪化し、当社への営業譲渡となった。(略)この企業買収がもたらす当社のメリットとして、大きく二つの点が挙げられた。
一つは、鮮魚加工部門や問屋部門取得による水産物の自社仕入れ・販売ルートを確保することによって、新たなビジネスチャンスが開けるという期待。当社にとって海産物の原料確保は重要な課題だが、この買収により原料仕入れの一つのルートを確保することにもなった。
もう一つは、焼津工場と焼津団地工場を直接結び付け、両工場の活性化につながるということ。両工場のちょうど真ん中にマルミの工場があるため、この土地が手に入ることによって、当社の両工場が地続きになり、一体運営できるようになると見込まれた。

「焼津水産化学工業50年史YSK50年史編集委員会 編集・製作(2009年9月20日)より引用

プライム市場上場方針の撤回及び買収防衛策の継続

資料16の通り、当社はプライム市場への上場継続の方針を公表しました。しかし、4か月もせずに「流通株式時価総額100億円以上」「売買代金20百万円以上/日」といった株主価値(株価)が関係する基準を満たしていないことなどに触れ、プライム市場への上場を諦めました。

弊社は、当社がなぜプライム市場上場を断念したのか理解できません。なぜなら、収益力の向上と株主価値の増加は両立するものだからです。弊社は当社に対して、収益力を向上させつつ、プライム市場に上場するための基準の達成を目指していただくことに期待します。

また、「株主価値の向上が買収防衛に最も有効である」という考え方を採用し、買収防衛策を廃止して、真剣に株主価値向上に取り組んでいただくことに期待します。

中期経営計画の目標としてプライム市場への上場を設定する

プライム市場新規上場基準(時価総額250億円以上、流通株式時価総額100億円以上など)の達成を経営目標とする。

買収防衛策を廃止する

資料16:新市場区分の選択申請に関する当社プレスリリース

わずか4か月弱で、当社はプライム市場上場を諦めてしまった。

2021年08月27日

プライム市場維持基準への適合に向けた意思表明に関するお知らせ

当社は、2021 年7月9日付で、東京証券取引所より新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果の通知を受領し、新市場区分「スタンダード市場」の上場維持基準には全て適合しておりましたが、「プライム市場」の上場維持基準のうち「流通株式時価総額」「売買代金」の各項目について基準を充たしていない結果でありました。(略)

当社は、上記を踏まえて、2021 年9月から 12 月の間に「新市場区分の上場維持基準への適合に向けた計画書」を作成し提出・開示することで、経過措置の適用を受けるとともに、今後も更なる企業価値向上のための事業推進とコーポレートガバナンスの一層の充実、積極的な IR 活動を行い、プライム市場の全ての基準の充足を目指し、取り組んでまいります。

2021年12月17日

新市場区分の選択申請における選択先の市場変更についてのお知らせ

プライム市場の維持基準の継続的な達成には、今後更なる労力やコストが必要となる一方で、当社における現時点での最優先課題は収益力の向上であります。
当社は現在の企業規模・実態に鑑み「スタンダード市場」を選択することで、収益力向上に向けた施策に集中的に経営資源を投入し持続的な成長を実現していくべきとの結論に至りました。
なお、所属する市場区分にかかわらず、当社は今後もコーポレート・ガバナンスの充実を通じた企業価値向上の取り組みや株主・投資家の皆様との積極的な対話が重要であるとの認識のもと、それらを進めることにより、将来「プライム市場」に上場することを目指してまいります。

(補足:当社ウェブサイトから弊社が作成。)

中期経営計画の目標営業利益及び目標ROEの不整合性

焼津水産化学工業は、中計最終年度にROE5%の目標を定めています。しかし、資料17の通り、営業利益8.5億円及び現状の自己資本の前提では、ROE5%を達成できない試算結果となります。なお、当社の現状の自己資本は約190億円ですから、仮に、自己資本が約70億円減少して約120億円となれば、営業利益8.5億円でROE5%を達成することはできます。

この自己資本の乖離について、面談時に中島執行役員に質問したところ「ご指摘いただいた乖離は認識している。」とのことでした。そのため、弊社は2022年10月12日に口頭で、また、同月13日に書面で「上期決算説明会において、投資家にご説明願いたい」と申し上げました。しかし、同年11月28日の上期決算説明会で山田社長にこの点についてご説明いただけませんでした。

そこで、資料18の通り、説明会において再度質問をしましたが「営業利益を計画対比超過達成すればROE5%を達成できる」という趣旨の回答でした。弊社は、営業利益目標を達成しても、達成できないROE目標を掲げることは、株主・投資家に対してミスリードであり、中期経営計画の内容としてふさわしくないと考えます。

中計最終年度のROEの算定根拠を明らかにする

中計最終年度の当期純利益及び自己資本の目標数値を公表する。

当社は、2023年6月9日付資料「2023/3期決算説明会」において、現行の中期経営計画の見直しを進めていることを明らかにしました。

資料17:ROE5%実現に必要な自己資本及び営業利益の試算

営業利益8.5億円の前提だと、ROEは3%程度にしかならない。

(備考:当期純利益=営業利益×(1-実効税率30%)として、ROEを算定しています。例えば、営業利益8.5億円に(1-0.3)を乗じた値が当期純利益5.95億円となり、自己資本190億円で除すると、ROEは3.1%と算定されます。なお、当社は成長投資40億円をはじめとした大規模な投資を中計期間中に予定していますが、それらを実行しても、投資金額が自己資本から控除されることにはなりません。)

資料18:23年3月期上期決算説明会における質疑応答

利益目標を超過達成する前提で、ROE目標を設定したと解される。

弊社

営業利益8.5億円を計上する前提で、ROE5%目標を達成するためには、自己資本120億円程度で十分であるところ、貴社の自己資本は190億円程度と大きく乖離している。中計期間3年分の株主還元20億円を踏まえても計算が合わない。例えば、特別利益の計上などを考慮しているのか。

山田社長

分子の方(1)は、更に上を目指してやっていきたいということも考えている。資本効率の観点から持ち株の解消(2)を成長投資に回していく考え方は理解できる考え方だ。そのような資本効率の改善を行っていく。もし、特別利益を計上することになれば、公表する。

(1)弊社注: ROE算定の分子であるため、利益のことを指すと考えられます。

(2)弊社注: 22年3月期現在、当社は14億円の政策保有株式を保有しています。

株式会社の目的と上場要否の再検討の必要性

資料19のように、焼津水産化学工業は、株式市場に上場している以上、株価という評価を常に受けることになります。しかし、株式会社は、必ずしも上場する必要はありません。

山田社長は、前出の社史によれば、調味料開発部研究グループ時代に「オンリーワンの技術をもった企業であり続けたい。世界のオンリーワン企業に!」というお考えをお持ちだったようです。

山田社長におかれては、株主価値向上のための経営に舵を切っていただけない場合、是非、非上場化していただき、非上場会社として世界のオンリーワン企業を目指していただきたいと存じます。または、もし、非上場化をせず、当社への異常に低い評価を放置する方針の場合は、株主価値向上を推進する取締役を招聘し、山田社長には辞任していただきたいと存じます。

資料19:中期経営計画発表後の当社の株主総利回り(トータルシェアホルダーリターン)

株主価値向上に寄与しない中期経営計画を発表後、株価は軟調に推移している。

(補足:株主総利回りとは、配当落ちの影響を控除した株価の指標です。なお、配当込みTOPIXは税引後のベースであり、当社の配当も同様に税引後に再計算して比較しています。)

株主価値向上に向けた経営方針を採用していただけないのなら、非上場化して株式市場から撤退する
非上場化しないのなら、取締役を辞任し、株主価値向上のための経営を行っていただける取締役と交代する